[レビュー]走り続ける才能たち

 
久々のブログ更新。
安藤隆人著「走り続ける才能たち」の書評、というか感想。

まず、最初に。
むちゃくちゃよかった。

まず、リズムがいい。
複数の選手を取り上げる場合でも、時間軸は同じにして書かれているため、読んでいる側からしても読みやすいし、早く次を読みたいと思わせてくれる。

内容について少し述べると、
テレビでのニュースなどでは、一見順風満帆にいっているような選手にも、安藤さんなりの取材で実はそうじゃなくて苦労していた時代があるんだと気づかされた。
また、長い時間取材しているため、その選手がどう成長していくのかというのが感じられた、特に第三章の香川真司の部分。
細貝選手との会話の中で、
「高校時代から顔を出してくれる記者の人はいない」
という部分があって、これが安藤さんの強みなんだろうなと。

宇都宮徹壱さんのライター講座(その時の記事はこちらから)にて、
「ライターとして生き残っていくためには、誰にもない視点を確保すること、自分のストロングポイントを見つけること。」
とおっしゃっていた。

安藤さんの強みは、地道な取材で将来有望な選手を見つけ出し、若いうちに信頼関係を築いていくことなんだろうな。
やはり、選手を見つけ出す能力に長けているなと感じた。
これは生まれ持った才能ではなくて、学生時代からいろんな試合を見て、いろんな選手を見て培ってきたもので、努力の賜物だと思う。

また、長く付き合っているからこそできる選手に対するアドバイスも的確で、なおかつそれらが選手たちにも直に伝わっている。
これはジャーナリストとして重要な役割である。
選手たちも客観的な目線で自分を見てもらって、それをアドバイスしてもらうということを欲しているはずだ。
長いこと見てくれている安藤さんなら、なおさら自分のプラスにもなる、いい影響を与えている。
誰でも人に見られていると感じると「頑張ろう」という気になる。
大袈裟だと思われるかもしれないけど、きっと安藤さんがいなければ今海外で活躍してる選手はもっと少なかったように感じた。
純粋にすごいです、安藤さん。

僕は安藤さんの過去にすごい興味があった。
なんで銀行員をしてたんだ?と。
でも、この本を読んで読んでよく分かった。
自分の時間が確保される仕事に就いて、その時間を使って取材する。
サッカーライターは完全実力主義である。
きっと安藤さんはそれを十二分に理解していて、銀行員時代に経験を積むことにより、自分のスキルアップをはかったのだと思う。
そして、本田岡崎細貝らに出会ったときに仕事を辞める決意をした。
今ではユース教授と呼ばれるまでになった。
ほんとにすごいです。

本の題名である、走り続ける才能たち。
これに合った内容だった。
その才能たちを安藤さんは常に追い続けていて、知ることの出来なかった、安藤さんにしか見せない選手の表情を感じることができた。
安藤さんはこれからも変わらないだろう。
新しい才能を追い続けて、僕達に新しい発見をする手助けをしてくれるんだと思う。
「ユース教授。」
唯一無二の存在である。

きっとこれからもサッカー界に多大な影響を与えていってくれるんだろう。
素敵な本をありがとうございました。

みなさんも読んでいただきたいです。
安藤さんが過去に出した書籍もアマゾンから購入できるので、ぜひ。



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