「サッカー観戦力を養う」に参加してきました!

1月28日、フロムワン本社3階。
「サッカー観戦力を養う」というサッカーセミナーに参加してきました。
ゲストは2人。
「なぜボランチはムダなパスを出すのか?」の著者の北健一郎さん、
「サッカー観戦力が高まる」の著者の清水英斗さんのお二方。
司会進行に秋元大輔さんと豪華な面々でした。

お二方の最近出された著書を元に、サッカーを観戦する際に重要な注目ポイントなどを紹介。
ボールホルダー以外にどこをチェックすれば戦術の機能度やプレーヤーの意図が深く理解できるかを伝える内容となっていた。

具体的にどんな内容だったかをまとめてみましたので、サッカーIQアップしたい人なんかはぜひ読んでください。

本を作った背景

・本を出版するにあたって、特別に取材はしていない
・自分がプレーしてたことを背景に、その後いろいろな選手などへの取材から、自分の中で固まってきたことを書いてまとめたもの(清水氏)

・遠藤選手、シャビ選手のプレーを掘り下げていきたいと感じ、本を出版することに
・サッカー選手はいろいろなことを考えながらプレーしているというのを理解してもらうため(北氏)

本の内容に関して

「サッカー「観戦力」が高まる」
・100個の小見出しになっている
・バルサの内容を中心に、戦術だけでなくゲームマネジメント、セットプレー、個人戦術(ボールの持ち方等)にも踏み込んでいる
・テクニックに関して取り扱った書籍があまりなかったので、それを伝える場として本という形にした
・世界のトップの選手は、味方がどうブレーしているかを”感じて”プレーしている。アイコンタクトをしているのでは遅い
→ドリブルの上手い選手はいつもボールを置くスポットが同じだから、周りもこの次にどうプレーするかを感じやすい(清水氏)

・本の背景として、ストライカー編集部の時についた癖(偶然のプレーも仮設を立てて技とする)がこの本に結びついた(北氏)

「なぜボランチはムダなパスを出すのか」
・ボランチというのはどういう発想でプレーしているのか、というのを掘り下げていってる
・ムダなように見えるパス(一旦バックラインに戻してリターンパスをもらう等)は、時間差が生まれることにより、スペースが生まれたりする
・布石になる動き
・視線のマークが外されるだけでフェイントになる(北氏)

観戦力に関して

・体の向きなどに関して頭の中で矢印をつけるようにする(北氏)
・矢印に関しては、柏レイソルの北嶋も言っていた
→右サイドの選手がボールの置いている場所が右足だったら、守備陣は縦を意識するため、中では縦ではなく下がってもらう(清水氏)
・矢印を利用したプレーがある(メッシ等)
・難しいプレーはしていない、相手の矢印の逆を意識している
→シャビの場合、後ろに敵がいる場合、わざと相手に自分の矢印を見せておいて、それとは逆の動きをすることによってフェイントになる
・バルセロナの選手はみんながそれをやっている(北氏)

初めてサッカーを見るときにどういうところに着目したら面白くなるか

・それぞれが確立するのが楽しい
・ボールを見るようにして、だんだん視野を広げていく、ぼやかしていく
・見ていくにつれて、サッカーはパターン化されて見れるようになってくる
・頭の中でWhy?を常に意識しておくと答えが自ずと見えてくる(清水氏)

・試合の中にピンをとめるようにする
→なんで沢はこんなにパスカットできるのか、ということを頭の中にピンをとめておく
そのピンを意識して試合観戦してみる
パスカットできるように仲間がスペースをうめている(北氏)

事前情報がないときの試合観戦方法

・システムを把握しておく
・どういうことが起きるかというのはパターン化されている
→両チーム4-4-2のボックス型の対戦の場合
初期配置の段階で2ボランチ、両サイドバックがフリーになる
その4人をどのように使っているか(清水氏)

-試合中に気づかない間でシステム変更する場合は?-
・約束事が変わりやすい瞬間は必ずあるので、そこでのactionは気をつけて見る(選手交代、監督の動き、ハーフタイムなど)
・テレビ観戦だと、わかりづらい部分があるので、生観戦がおすすめ(清水氏)

観戦解説(清水氏)

【エル・クラシコ国王杯1st】
・DFの姿勢
[前半10分]
1.ピケの姿勢
ゴールと相手のライン上ではなく、中央を切っていて外を向いている(ワンサイドカット)
ライン上をとってしまうと、裏をとられてしまうのをピケは知っている(Cロナウドのスピードもあるため)
→クリロナのカットインシュートを恐れていた
2.ダニエルアウベスとの位置関係
このままだと裏が弱いので、その部分をアウベスがカバーできたはず
普段はピケは左CBなので、アウベスとの連携をうまくとれていなかった
・右SB(アルティントップについて)
[後半8分]
本来アルベロアのポジションだが、この日はアルティントップが右SBになっていた
アルティントップはイニエスタから眼を離してしまったため、裏を取られてしまった
それに対し、セルヒオ・ラモスが危険察知したことにより、難を逃れた
[後半31分]
DFラインが4人並ぶことで幅をカバーするというのはセオリー
アルティントップがイニエスタの動きにつられて中に入ってしまったため、どフリーのアビダルへのパスでゴール
『問題点』
1.本来のポジションではないところで起用されたアルティントップのDF力の無さ(ゾーンディフェンスに慣れていない)
2.アルティントップがイニエスタをマークするという約束事があったのかもしれない
→マンツーマンディフェンスだとしたら、同じサイドのC・ロナウドがカバーに入るべきだった
→W杯の日本代表を例にとると、長友のカバーを阿部や大久保がしていた
→イニエスタが中途半端な位置にいることによって、これがフェイントになっていた(北氏)

【エル・クラシコ国王杯2nd】
(バルデスに代わって出ていたピントは危ないパスミスを多くしていた)
・ゴールキックに関して
[後半22分]
普通、CBはゴールキックの時にペナルティエリアの角で受けるのがセオリーだが、レアルFWがそこを埋めていた
なので、ピケは死のエリア(自陣のコーナーエリア)まで広がっていた
だが、ピントはロングパスを選択(ショートパスをもらっているためにCBは広がっていたのに、ロングパスをするという選択は適切ではない)
本来ならば、ロングパスを選択する場合、GKはCBに中に入るように指示しなければならない
その指示がなかったために、結果ボールロストし、中がスカスカになっていた
そのままC・ロナウドの得点につながった
[後半41分]
バルセロナとしては、点を決められると負けてしまう状況
このシーンでは、CBは死のエリアではなくラインを上げて中に詰めてポジショニングをとっている
ボールをキープできなかったが、危険なシーンは免れた

これらの試合から言えることとしては、
・今まで出ていなかった選手が穴になりやすい理由はこういったシーンに多くあるということ
連携ミスや、戦術の成熟度の関係
・ミスが少ない試合、高度な試合だからこそ、技術的なミスよりも判断ミスが多く目についてしまう

質疑応答

Q1.
セオリーを逸脱することに関してどう考えるか
A1.
セオリーを破るのは楽しい(清水氏)
セオリーを考えた上で、見ることは楽しい(北氏)

Q2.
ミスが多く展開がぼやけてしまった場合、流れをつかむコツ
A2.
傾向をつかむようにする(清水氏)
サッカーはミスのスポーツなので、優秀なチームはミスをした前提でトレーニングしている
ミスした後にどう動くのかというのをよく見るようにする(北氏)

Q3.
観戦者の目が肥えていっているが、どのような原稿を求められるようになったか
A3.
観戦者の目が肥えっていっているのに比例して、編集者のレベルもあがってきているので少し突っ込んだ話をするようにしている
自分の知識をどんどんアップデートしていき、つまらない記事にならないように心がけている(北氏)

Q4.
守備戦術について、今後どういう流れになっていくのか
A4.
ビルバオのマルセロ・ビエルサに注目している
マンツーマンDFによって、バルサをどう打ち破るかに注目している(清水氏)

バルサを打破する方法はフットサルではよく行われる
サイドにパスを出してから、CBが縦に走るような動きが出てくるのではないかと予測している
将来的には、フットサル化し、CBも流動的な動きもしていくのではないだろうか(北氏)

Q5.
日本のボランチで遠藤の後継者になりうる人は?
A5.
チームを動かしていくボランチという面では、鹿島アントラーズの柴崎岳に注目している
どこにスペースがあるのか、ということを見つけることが上手い選手
他には、日本人ではないが京都サンガのチョンウヨン
彼のゲームメイクがチームに回ってくればもっとよくなる(北氏)

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こんな感じの1時間30分でした。
セミナーの最後には安藤隆人さんも登場。
観戦するときに気をつけている点は「違和感を持つこと」だそうです。
それを感じられるようにならば、安藤さんのように将来有望な選手を見つけ出す力もつくのかもしれません。
「安藤さんがこの場にいることが違和感ですけどね」
と、笑いを取られていましたが……。

感じたこと

サッカー選手は一流と呼ばれる選手ほどいろんなことを考えてプレーしてるということ。
無駄なように見えた一つのパスが、実はとてつもなくでかいメッセージが込められている。
ただ単に、「メッシすげえええ!」で終わっていたのが、こうした背景を考えながら見ていくことで
“メッシの今の動きは、シャビのボールを置く位置から裏へのパスが出ることが分かっていたんだな”ということや、
国王杯でのピケが抜かれて失点してしまったところでも、普通ならクリロナすげえなで終わる所が、
“ピケ自身は自分にスピードがないことを自覚しているから、その中で考えられるベストなDFの仕方だったのだな”等と考えられるのです。
サッカーの奥深さを最確認できました。
自分の中で、サッカーを見る時に気をつけていた事はなんとなく構築されていたのですが、
このセミナーに参加することにより、もう1ランク上にいけたような気がしました。
本当に有意義な時間でした。


※続編が出ました!!!


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