Jリーグ2ステージ制のお話

J-2STAGE

最近の日本サッカーまわりでは、Jリーグ2ステージ制の話で持ちきりですね。詳しい内容などは、あらゆるところに出ているので、今回のことに対しての自分の所感のみ書かせていただこうかなと。

まず自分の立ち位置として、賛成でも反対でもない派、という目線でこの騒動を見ていた。反対派の意見を聞けば、それはそれで納得するし、その逆も然りだったためである。

ただ、気になったのは「ヨーロッパでは○○だ」という話を持ち出す人が稀に見受けられたところ。あれだけ成功している(もちろん成功していない事例もある)と、そのノウハウを日本にも持ち込めば、同じ道をたどることができるのではないか、と思うのは分からなくもない。ただ、言ってしまえばここは日本なのだ。リーグが始まった経緯も、環境も、言葉も、何もかもが異なる。「あのリーグが成功しているから、同じやり方をすれば成功する」とは簡単には言えないのは、ここが日本だからである。その土地それぞれに見合ったやり方があるのは自明である。

むしろ、取り巻く環境や状況は常に変わり続けているのであって、それに即座に対応できる柔軟さが求められるのではないだろうか。20年という節目の年にあって、今まで”成功しているように思える”リーグ運営を1から見直すというJリーグの判断は称賛に値するはずだ。

日本なりのリーグ運営って何?と考えて考えぬき、より現実路線に突っ切った結果が今回の「2ステージ制」という選択であったように思える。
しかしながら、今回まずかった点として「ああ、また上の人達だけで決めちゃったよ」という印象を与えてしまったことであろう。どうしてこういった流れになったのか、という経緯を(手間ではあるかも知れないが)、意見交換会などを開いて話す必要があったのではないだろうか。

戦略会議のメンバーからもそういったことが言える。全てのJクラブから選ばれたわけではなく、JリーグとJFA、関東に近いクラブの代表+αのメンバーで構成されていた。この会議に選ばれていないクラブの監督で、はっきりと反対意見を述べる人もいた。その意見が「若手が伸びない」というものであった。Jリーグとしては、若手育成の費用(もちろん他の費用もある)に充てたいがために今回の2ステージ制に踏み切ったのだが、説明する場所がなかったためにこういったすれ違いが起きたのではないだろうか。「Jリーグが決めたことなんだ。仕方ない」という流れにならなかったのは、そういった部分を怠ったJリーグ側に非がある。

そもそも、金がない金がないと言ってるが、130億円の収入があるのにも関わらず、その使い方の詳細は公表しているのであろうか。調べ不足でそこに関しては分からないが、もしその説明もしなければ、誰も納得してくれないんじゃないだろうか。これでもし、J幹部だけがおいしい思いをしていたら…なんて考えたら、本末転倒の結果になりそうだが。

Jリーグも、クラブも、JFAも、日本のサッカー界をよりよい環境にしていきたいという思いは同じであるはずだ。ただ、その過程が異なるため、この話し合いは時間をかけてすり合わせていく必要があったようにも思える。

とにもかくにも、すでに決まったことである。まずは、どういった経緯でこの決定がなされたのか、説明会を行うことが重要であるかと思う。説明会に参加する側も、真向から反対、という姿勢をとらずに、まずは話を聞いてみて、疑問に思う部分を率直にぶつけてみる。すべての事柄でみんながみんな理解し合えることはないとは思うが、よりそれに近い形になるようになっていってほしいと思う。
まとまりが悪いですが、今日はこんなところで。

※川崎フロンターレではすでに9月21日に行われています。
こちらから
「J1リーグ大会方式の変更について」の説明会(報告)

※その他参照URL
謎に包まれていた2ステージ制復活の意図 成長シナリオを描くために必要な決断

【お知らせ】サッカー記事公開のお知らせ

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お知らせです。
「徹マガインディーズ」という企画で、記事を書かせていただきました。

タイトルは、
サッカーは“代理戦争”の場としてふさわしいか」。

パレスチナ問題や、東アジアカップでの日韓戦での出来事を絡めながら、
サッカーが代理戦争としてふさわしいのか否かを考察した記事になっております。

自分がどういったことを伝えていきたいのか、という部分が
少しでも理解していただけるかと。

なお、こちらの記事は無料で公開されておりますので、ぜひ読んでいただければと思います。
http://tetsumaga.com/archives/3944
こちらのリンクから『■HTML』というところの下のリンクをクリックすると読むことができます。

また電子書籍にも対応しておりますので
その場合はその下の『■ePub』のリンクをクリックした後、保存していただければ。

今後に活かしていきたいと思いますので、感想をいただけるとありがたいです。
こちらのコメント欄でも良いですし、Twitterでも良いのでぜひよろしくお願いします。

Twitter
@yuukimiura

デルピエロが見たい!

 

2012年7月21日(土)、カシマサッカースタジアムにて、2012年震災復興支援スペシャルマッチを観戦してきた。

試合自体は、デルピエロの活躍もあり、大盛り上がり。
シーズンオフということで体は重いように感じたが、しっかりと得点を決めるあたり、さすがイタリア代表を長く牽引してきただけあるなという印象を持った。
交代時には、あたかも自分の引退試合のような振る舞いを見せる彼を見て、
”自分の魅せ方”を知っている選手だなと、変なところで感動した。

ほぼ仙台・鹿島の選抜チームの「Jリーグ TEAM AS ONE」のゴール裏は、鹿島サポーターが中心となって選手のサポートを続けた。
スタジアムには、その一員としてプレーしたイタリアのファンタジスタにも同様に、自然と「デルピエロ!」のチャントが鳴り響いた。
それにつられて、対戦相手である「Jリーグ選抜」のゴール裏も一緒になって声を出していた。

デルピエロがJリーグのどこのチームにも属していないということもあるだろうが
ただ単純にサッカーを楽しんでいるサポーターの姿があった。
デルピエロが良いプレーを見せるとき、スタジアム全体が「わあー!」っという声とともに大きな歓声が送られ、一体感がとても気持ちよかった。

デルピエロがもしJリーグのどこかのチームに移籍をしたらーー。
そんな想像も膨らませながら、彼の一挙手一投足に注目していた。

今、スタジアム動員数を増やすためにいろいろな催しが行われている。
去年の復興支援マッチで好評であった「ご当地ゆるキャラ」も登場したり、Jリーグ特命PR部マネージャーの足立梨花さんも熱心に募金を呼び掛けていた。

その効果もあり、各クラブごとでは前年比に比べ増加傾向が見られるクラブもある。(参照URLはこちら
サッカーに興味のある人以外もサッカーを見に来てもらえる環境作りが着々と進んでいて、とても期待できる。

以前、フレドリック・ユングベリという選手がJリーグの清水エスパルスでプレーしていたことがある。
スウェーデン代表で、アーセナルで約10年間プレーをしていた世界のスーパースターだ。
その際の日本の盛り上がりは周知の事実であると思う。

サッカー面でJリーグを盛り上げていくことの可能性を、私はここに感じた。
サポーターは、クラブチーム自体に愛着がある。
選手は移り変わるけど、それでもなお、自分のチームを応援し続けるのは
そういった背景がある。
ただ、そこまでになるには、やはり時間が掛かる。
まずは、ある特定の選手を見たいから、スタジアムに足を運ぶ。
そして、スタジアム観戦の面白さを感じてもらう。
特定のチームを応援することによって愛着がわき、そのクラブのサポーターになる。
Jリーグが始まった当初にも世界のスーパースターがJリーグにきて、盛り上げてくれた。
それが今に繋がっている。

私は、サッカーがもっと根付いて欲しいと思っている。
サッカーサポが増えて、もっと目が肥えてきたら、
選手たちにもより高いプレーを要求するようになり、
自然と選手たちのレベルアップにも繋がると考えている。
日本のナショナルチームの目に見えない形での強化にもなるはずだからだ。

大東チェアマンが「デルピエロがJリーグに移籍するならば、Jリーグが年俸の半分をもってもいい!」と豪語しているそうだ。(参照URLはこちら
デルピエロの出場が決まってから、売れ行きが思わしくなかったチケットが5000枚も売れた。
世界的スーパースターの効果を目の当たりにした形での発言だろうが、
それほどの力をデルピエロは秘めているということであろう。
もしそうなれば、Jリーグのスタジアム動員数も増加するだろうし、
そうなることを期待したい。

色々と書き連ねてきた。
結論を言おう。

デルピエロをJリーグで見たい!
これは日本のサッカー界にとってもプラスになるはずだ。

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「サッカー観戦力を養う」に参加してきました!

1月28日、フロムワン本社3階。
「サッカー観戦力を養う」というサッカーセミナーに参加してきました。
ゲストは2人。
「なぜボランチはムダなパスを出すのか?」の著者の北健一郎さん、
「サッカー観戦力が高まる」の著者の清水英斗さんのお二方。
司会進行に秋元大輔さんと豪華な面々でした。

お二方の最近出された著書を元に、サッカーを観戦する際に重要な注目ポイントなどを紹介。
ボールホルダー以外にどこをチェックすれば戦術の機能度やプレーヤーの意図が深く理解できるかを伝える内容となっていた。

具体的にどんな内容だったかをまとめてみましたので、サッカーIQアップしたい人なんかはぜひ読んでください。

本を作った背景

・本を出版するにあたって、特別に取材はしていない
・自分がプレーしてたことを背景に、その後いろいろな選手などへの取材から、自分の中で固まってきたことを書いてまとめたもの(清水氏)

・遠藤選手、シャビ選手のプレーを掘り下げていきたいと感じ、本を出版することに
・サッカー選手はいろいろなことを考えながらプレーしているというのを理解してもらうため(北氏)

本の内容に関して

「サッカー「観戦力」が高まる」
・100個の小見出しになっている
・バルサの内容を中心に、戦術だけでなくゲームマネジメント、セットプレー、個人戦術(ボールの持ち方等)にも踏み込んでいる
・テクニックに関して取り扱った書籍があまりなかったので、それを伝える場として本という形にした
・世界のトップの選手は、味方がどうブレーしているかを”感じて”プレーしている。アイコンタクトをしているのでは遅い
→ドリブルの上手い選手はいつもボールを置くスポットが同じだから、周りもこの次にどうプレーするかを感じやすい(清水氏)

・本の背景として、ストライカー編集部の時についた癖(偶然のプレーも仮設を立てて技とする)がこの本に結びついた(北氏)

「なぜボランチはムダなパスを出すのか」
・ボランチというのはどういう発想でプレーしているのか、というのを掘り下げていってる
・ムダなように見えるパス(一旦バックラインに戻してリターンパスをもらう等)は、時間差が生まれることにより、スペースが生まれたりする
・布石になる動き
・視線のマークが外されるだけでフェイントになる(北氏)

観戦力に関して

・体の向きなどに関して頭の中で矢印をつけるようにする(北氏)
・矢印に関しては、柏レイソルの北嶋も言っていた
→右サイドの選手がボールの置いている場所が右足だったら、守備陣は縦を意識するため、中では縦ではなく下がってもらう(清水氏)
・矢印を利用したプレーがある(メッシ等)
・難しいプレーはしていない、相手の矢印の逆を意識している
→シャビの場合、後ろに敵がいる場合、わざと相手に自分の矢印を見せておいて、それとは逆の動きをすることによってフェイントになる
・バルセロナの選手はみんながそれをやっている(北氏)

初めてサッカーを見るときにどういうところに着目したら面白くなるか

・それぞれが確立するのが楽しい
・ボールを見るようにして、だんだん視野を広げていく、ぼやかしていく
・見ていくにつれて、サッカーはパターン化されて見れるようになってくる
・頭の中でWhy?を常に意識しておくと答えが自ずと見えてくる(清水氏)

・試合の中にピンをとめるようにする
→なんで沢はこんなにパスカットできるのか、ということを頭の中にピンをとめておく
そのピンを意識して試合観戦してみる
パスカットできるように仲間がスペースをうめている(北氏)

事前情報がないときの試合観戦方法

・システムを把握しておく
・どういうことが起きるかというのはパターン化されている
→両チーム4-4-2のボックス型の対戦の場合
初期配置の段階で2ボランチ、両サイドバックがフリーになる
その4人をどのように使っているか(清水氏)

-試合中に気づかない間でシステム変更する場合は?-
・約束事が変わりやすい瞬間は必ずあるので、そこでのactionは気をつけて見る(選手交代、監督の動き、ハーフタイムなど)
・テレビ観戦だと、わかりづらい部分があるので、生観戦がおすすめ(清水氏)

観戦解説(清水氏)

【エル・クラシコ国王杯1st】
・DFの姿勢
[前半10分]
1.ピケの姿勢
ゴールと相手のライン上ではなく、中央を切っていて外を向いている(ワンサイドカット)
ライン上をとってしまうと、裏をとられてしまうのをピケは知っている(Cロナウドのスピードもあるため)
→クリロナのカットインシュートを恐れていた
2.ダニエルアウベスとの位置関係
このままだと裏が弱いので、その部分をアウベスがカバーできたはず
普段はピケは左CBなので、アウベスとの連携をうまくとれていなかった
・右SB(アルティントップについて)
[後半8分]
本来アルベロアのポジションだが、この日はアルティントップが右SBになっていた
アルティントップはイニエスタから眼を離してしまったため、裏を取られてしまった
それに対し、セルヒオ・ラモスが危険察知したことにより、難を逃れた
[後半31分]
DFラインが4人並ぶことで幅をカバーするというのはセオリー
アルティントップがイニエスタの動きにつられて中に入ってしまったため、どフリーのアビダルへのパスでゴール
『問題点』
1.本来のポジションではないところで起用されたアルティントップのDF力の無さ(ゾーンディフェンスに慣れていない)
2.アルティントップがイニエスタをマークするという約束事があったのかもしれない
→マンツーマンディフェンスだとしたら、同じサイドのC・ロナウドがカバーに入るべきだった
→W杯の日本代表を例にとると、長友のカバーを阿部や大久保がしていた
→イニエスタが中途半端な位置にいることによって、これがフェイントになっていた(北氏)

【エル・クラシコ国王杯2nd】
(バルデスに代わって出ていたピントは危ないパスミスを多くしていた)
・ゴールキックに関して
[後半22分]
普通、CBはゴールキックの時にペナルティエリアの角で受けるのがセオリーだが、レアルFWがそこを埋めていた
なので、ピケは死のエリア(自陣のコーナーエリア)まで広がっていた
だが、ピントはロングパスを選択(ショートパスをもらっているためにCBは広がっていたのに、ロングパスをするという選択は適切ではない)
本来ならば、ロングパスを選択する場合、GKはCBに中に入るように指示しなければならない
その指示がなかったために、結果ボールロストし、中がスカスカになっていた
そのままC・ロナウドの得点につながった
[後半41分]
バルセロナとしては、点を決められると負けてしまう状況
このシーンでは、CBは死のエリアではなくラインを上げて中に詰めてポジショニングをとっている
ボールをキープできなかったが、危険なシーンは免れた

これらの試合から言えることとしては、
・今まで出ていなかった選手が穴になりやすい理由はこういったシーンに多くあるということ
連携ミスや、戦術の成熟度の関係
・ミスが少ない試合、高度な試合だからこそ、技術的なミスよりも判断ミスが多く目についてしまう

質疑応答

Q1.
セオリーを逸脱することに関してどう考えるか
A1.
セオリーを破るのは楽しい(清水氏)
セオリーを考えた上で、見ることは楽しい(北氏)

Q2.
ミスが多く展開がぼやけてしまった場合、流れをつかむコツ
A2.
傾向をつかむようにする(清水氏)
サッカーはミスのスポーツなので、優秀なチームはミスをした前提でトレーニングしている
ミスした後にどう動くのかというのをよく見るようにする(北氏)

Q3.
観戦者の目が肥えていっているが、どのような原稿を求められるようになったか
A3.
観戦者の目が肥えっていっているのに比例して、編集者のレベルもあがってきているので少し突っ込んだ話をするようにしている
自分の知識をどんどんアップデートしていき、つまらない記事にならないように心がけている(北氏)

Q4.
守備戦術について、今後どういう流れになっていくのか
A4.
ビルバオのマルセロ・ビエルサに注目している
マンツーマンDFによって、バルサをどう打ち破るかに注目している(清水氏)

バルサを打破する方法はフットサルではよく行われる
サイドにパスを出してから、CBが縦に走るような動きが出てくるのではないかと予測している
将来的には、フットサル化し、CBも流動的な動きもしていくのではないだろうか(北氏)

Q5.
日本のボランチで遠藤の後継者になりうる人は?
A5.
チームを動かしていくボランチという面では、鹿島アントラーズの柴崎岳に注目している
どこにスペースがあるのか、ということを見つけることが上手い選手
他には、日本人ではないが京都サンガのチョンウヨン
彼のゲームメイクがチームに回ってくればもっとよくなる(北氏)

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こんな感じの1時間30分でした。
セミナーの最後には安藤隆人さんも登場。
観戦するときに気をつけている点は「違和感を持つこと」だそうです。
それを感じられるようにならば、安藤さんのように将来有望な選手を見つけ出す力もつくのかもしれません。
「安藤さんがこの場にいることが違和感ですけどね」
と、笑いを取られていましたが……。

感じたこと

サッカー選手は一流と呼ばれる選手ほどいろんなことを考えてプレーしてるということ。
無駄なように見えた一つのパスが、実はとてつもなくでかいメッセージが込められている。
ただ単に、「メッシすげえええ!」で終わっていたのが、こうした背景を考えながら見ていくことで
“メッシの今の動きは、シャビのボールを置く位置から裏へのパスが出ることが分かっていたんだな”ということや、
国王杯でのピケが抜かれて失点してしまったところでも、普通ならクリロナすげえなで終わる所が、
“ピケ自身は自分にスピードがないことを自覚しているから、その中で考えられるベストなDFの仕方だったのだな”等と考えられるのです。
サッカーの奥深さを最確認できました。
自分の中で、サッカーを見る時に気をつけていた事はなんとなく構築されていたのですが、
このセミナーに参加することにより、もう1ランク上にいけたような気がしました。
本当に有意義な時間でした。


※続編が出ました!!!


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[レビュー]走り続ける才能たち

 
久々のブログ更新。
安藤隆人著「走り続ける才能たち」の書評、というか感想。

まず、最初に。
むちゃくちゃよかった。

まず、リズムがいい。
複数の選手を取り上げる場合でも、時間軸は同じにして書かれているため、読んでいる側からしても読みやすいし、早く次を読みたいと思わせてくれる。

内容について少し述べると、
テレビでのニュースなどでは、一見順風満帆にいっているような選手にも、安藤さんなりの取材で実はそうじゃなくて苦労していた時代があるんだと気づかされた。
また、長い時間取材しているため、その選手がどう成長していくのかというのが感じられた、特に第三章の香川真司の部分。
細貝選手との会話の中で、
「高校時代から顔を出してくれる記者の人はいない」
という部分があって、これが安藤さんの強みなんだろうなと。

宇都宮徹壱さんのライター講座(その時の記事はこちらから)にて、
「ライターとして生き残っていくためには、誰にもない視点を確保すること、自分のストロングポイントを見つけること。」
とおっしゃっていた。

安藤さんの強みは、地道な取材で将来有望な選手を見つけ出し、若いうちに信頼関係を築いていくことなんだろうな。
やはり、選手を見つけ出す能力に長けているなと感じた。
これは生まれ持った才能ではなくて、学生時代からいろんな試合を見て、いろんな選手を見て培ってきたもので、努力の賜物だと思う。

また、長く付き合っているからこそできる選手に対するアドバイスも的確で、なおかつそれらが選手たちにも直に伝わっている。
これはジャーナリストとして重要な役割である。
選手たちも客観的な目線で自分を見てもらって、それをアドバイスしてもらうということを欲しているはずだ。
長いこと見てくれている安藤さんなら、なおさら自分のプラスにもなる、いい影響を与えている。
誰でも人に見られていると感じると「頑張ろう」という気になる。
大袈裟だと思われるかもしれないけど、きっと安藤さんがいなければ今海外で活躍してる選手はもっと少なかったように感じた。
純粋にすごいです、安藤さん。

僕は安藤さんの過去にすごい興味があった。
なんで銀行員をしてたんだ?と。
でも、この本を読んで読んでよく分かった。
自分の時間が確保される仕事に就いて、その時間を使って取材する。
サッカーライターは完全実力主義である。
きっと安藤さんはそれを十二分に理解していて、銀行員時代に経験を積むことにより、自分のスキルアップをはかったのだと思う。
そして、本田岡崎細貝らに出会ったときに仕事を辞める決意をした。
今ではユース教授と呼ばれるまでになった。
ほんとにすごいです。

本の題名である、走り続ける才能たち。
これに合った内容だった。
その才能たちを安藤さんは常に追い続けていて、知ることの出来なかった、安藤さんにしか見せない選手の表情を感じることができた。
安藤さんはこれからも変わらないだろう。
新しい才能を追い続けて、僕達に新しい発見をする手助けをしてくれるんだと思う。
「ユース教授。」
唯一無二の存在である。

きっとこれからもサッカー界に多大な影響を与えていってくれるんだろう。
素敵な本をありがとうございました。

みなさんも読んでいただきたいです。
安藤さんが過去に出した書籍もアマゾンから購入できるので、ぜひ。



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表現者になること

私の夢は、表現者になること。
その中で今もっとも興味があることは、自分の文で世の中の人に何かを伝えるということ。
ライターである。

ブログでアップしている分には、下手クソな文でも問題はないと思う。
だが、将来的にライターとして”飯を食っていく”ためにはあまりにも文章力がないと感じていた今日この頃。
そんなときに、サッカージャーナリスト養成講座を知った。

サッカーライターとして、サッカー雑誌の編集者として、写真家として活躍できる人材を養成するスクールである。
そのスクールで、オープン講座として宇都宮徹壱さんの授業が開講されると知った。

宇都宮徹壱さんはライターとしてとても有名な方である。
主な著書は、フットボールの犬 (幻冬舎文庫)股旅フットボール日本代表の冒険 南アフリカからブラジルへ (光文社新書)
などがある。

宇都宮さんは、初めからライターとして活躍されていたわけではなく、美大からテレビ番組ADになり、そこから写真家になろうと決意したそうだ。
そこからライターとしても活躍するようになった。

そんな宇都宮さんの話を聞いてみたいと思い、講座を受講することに決めた。

講座のテーマは、「コラム・エッセイの書き方」。
目から鱗なことばかり教えていただいた。
自分なりの蹴球百景を書いてくださいという課題が出されていたので、それらを用いながらの講座だった。
今回印象に残っていることを簡単にまとめようと思う。

どこに視点をおくか
文を書くのは、デッサンに似ている。
同じものでも、視点を変えればまったく違った見方ができる。
誰にもない視点を確保すること。

4分割して考える
(例)FC刈谷vs東京23
1.社会人リーグ4部vs6部
2.東京23の監督は前にFC刈谷に所属していたアマラオ。いうなれば、アマラオダービー。
3.6部の東京23が2-0で勝利。
4.アマラオはFC刈谷サポーターに一礼。負けたFC刈谷サポーターは熱烈なアマラオコール。
起承転結をしっかりと考える。

言いたいこと(ゴール)はただひとつ
スタートからゴールまでがストレートすぎると単調になってしまう。
展開を考えて構成すること。
(サッカーと同じ、スペースをうまく利用すること。)

誰に向かって書いているのかを意識する
読み手はどういうものを求めているのか。
例えば、スポーツナビは一番ライトな記事である。(yahooのトップページなどにも表示されるため。)
なので、サッカーをあまり見ない人にも対応できるような書き方をする。
また、嫌なイメージにならないような終わり方を意識する。

完成度をあげるためのプロセス
これもデッサンと同じ。
自分の書いたものをいろんな角度から客観的に見てツッコミを入れる。

リズムを意識しながら書いてみよう
記事が書けたら、音読してみる。
良い文章は声に出して読んでもリズム感のある心地よい文章である。

書き手として生き残っていくためには
自分のストロングポイントを見つける。
客層をつけるために、書籍を発表する。
優秀な編集者と出会う。
プライドを持つこと。
やりたいこと、書きたいことを意識的、積極的に発信していく。
常に貪欲に、ポジティブに。

今回一番印象に残ったのは、
「ライターになるのはある意味簡単。だが、本当に難しいのはライターであり続けることだ。」
という言葉。
宇都宮さんもそのことを常に念頭に入れながら活動しているとのこと。
ファンを飽きさせないためにも、常に斬新な視点で書くことが大事であると感じた。

この講座の受講するにあたって自分なりに蹴球百景を書いてみた。
それが印刷されて、実際に雑誌に載るような形で手渡されたとき、とても感動した。(冒頭の写真参照)
このような感情になれるのは、「表現者」の醍醐味であるように感じた。

最後に、今回自分で書いた蹴球百景を載せてるので読んでもらえたらと思う。

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「今こそJリーグの強化を」
最近のサッカー界は、今までにないような盛り上がりを見せている。代表戦がテレビで放送されれば視聴率は20%を越え、不況が続くテレビ業界では異例なことであろう。男子代表のアジアカップでの活躍や、なでしこジャパンのW杯優勝があり、それらがこの盛り上がりを支えていることは言うまでもない。その中でも注目したいのは、海外組の活躍である。ドルトムントの香川を始め、本田や長友などの活躍によりサッカー後進国であった日本にも欧州からの目が届くようになった。そうした影響で、日本で活躍すれば欧州からのオファーも届くことが目に見えて分かるようになり、選手個人のモチベーションアップにも繋がっているように思え、とてもよい循環であると思う。しかし、海外移籍によって問題になるのは、Jリーグのレベルが下がってしまうことにあると思う。サッカー強豪国に共通して言えることは、自国のサッカーリーグのレベルの高さである。そういったところで毎日プレーすることにより、個々のレベルがあがっていることは言うまでもない。Jリーグに置き換えていえば、代表主要選手のほとんどが海外組ということもあり、トップレベルの選手が集まっているとは言い難い。もちろん、若手の注目選手や、遠藤、中村憲などのようにまだまだ第一線で活躍している選手もいるが、海外に比べると力が劣ってしまう。また、注目選手が移籍しまうと、Jリーグ自体の観客数が減り、選手としても注目されてる感が減ってしまうため、モチベーションの低下にもつながるのではないだろうか。そう言った中で何かしらの改革が必要であると思う。Jリーグ発足時、各クラブは、当時の世界トップレベルの選手を獲得し、それによりサッカーファンは増えたのではないかと思う。原点回帰ではないが、このようなことが今、必要となっているのではないだろうか。清水のユングベリのように、欧州の第一線で活躍してきた選手を獲得し、その選手見たさにスタジアムに足を運ぶ、というのがいい例である。(2011年ホーム開幕戦は約1万人だったのに対し、最近のホーム戦では約2万人の入場者数)ユングベリ加入が直接的な理由となっているかはわからないが、入場者数が増えていることには間違いはない。試合を直接見てくれれば、選手のモチベーションはもちろんアップするし、良いプレーを見せようと必死になる。結果的には選手個々のレベルアップにもつながる、また、世界トッププレイヤーと対戦することによって何らかの意識変化が生まれることも間違いない。
イタリアでは、デルピエロが今季限りでユベントスを退団することになった。デルピエロは親日家としても知られているので、Jリーグからのオファーがあれば真剣に考えるのではないだろうか。まだまだプレーは衰えを見せていないので、Jリーグにもたらす影響は大きいと思うのだが。
海外移籍により、日本人選手のレベルがアップすることは大いに賛成であるが、そのかわりとして、Jリーグにもしっかりと目を向けてほしいと思う。そのためにも、クラブ側はいろんな策を考える必要があるのではないだろうか、それが、W杯優勝という将来的な目標にもつながるはずである。

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